どうも、弟です。
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花火の時間が近づき、人もぞくぞくと増えてきた。
「一花ちゃん、手、離さないでね~!」
「は、はい~~!!!」
とは言いつつも、人と人の間があまりにもなさ過ぎて、なかなか秋くんの後をついて行けない。
この手だけは離すまいと必死に力を入れているけど、私たちの距離はどんどん開いていく。
このままじゃはぐれちゃうよ~~!!
「一花ちゃん、こっち来られる?」
「はいい~!!」
もう人だかりのせいで姿も見えなくなってしまった秋くんの声のする方へ、必死で足を伸ばす。
すると、ちょっと人の少ない場所に出た。
「ふう~……やっと立ち止まれた~!! 一花ちゃん、足大丈夫?無理させてごめんな?」
「大丈夫! 秋くんのおかげで一息つけるよ~!」
あまりの人の多さになんだかおかしくなって、二人で笑っていると。
「あ、あのときのキレイな姉ちゃん!!」
「!!?」
あれ?
この声……??
すぐ近くから、聞き覚えのある声が聞こえて、当たりを見回す。