どうも、弟です。

さっきまでおかしそうに笑っていた秋くんが、どこか切なそうにそう言うから

私の胸に針が刺さったみたいに、チクりと痛んだ。


「ごめ……」

「いいよ、それくらいのほうが諦めつくもん」


片手で荷物を持ち直して、空いた手で私の頭を優しく撫でてくれる。


「はい、力仕事は大人しく男子に任せてね~」

「あ、」


その撫でててくれた手で、私の持っていた生地全部を奪うように持ち、そのまま教室まで運んで行ってくれた。

『この話はもう終わり!』

そう言われてるみたいだった。


少しでも、いい雰囲気になるように気を遣ってくれたんだろうな。

そんな優しいところ、秋くんらしい。


……そういえば、秋くんと雪くんって、家でどんな話してるんだろう?

秋くんは今みたいに朗らかな感じで、どんな雪くんもどーんと構えて、なんでも優しく受け止めてくれていそうだし

雪くんは雪くんで、そんな秋くんの優しさに甘えてずっとトゲトゲしてるんだろうな。

兄弟でちゃんと話してるところ、そういえば見たことないかも知れない。


そこまで考えて、雪くんが文化祭に来ると言っていたことを思い出した。


「……雪くんが、学校にくるんだ……」


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