どうも、弟です。
***

そして文化祭当日。

すでにお客さんもたくさん来ていて、生徒玄関から入ってすぐのスペースでは、パンフレットを渡したりちょっとした子供向けコーナーを設けたりしているため大賑わい。

特にヘリウムガスで膨らませた風船なんかは、子供達に大人気だ。

そんな中、朝から緊張と期待でドキドキしっぱなしの私は、すみれの傍をうろうろと歩き回っていた。


「もう、一花そわそわしすぎ!!」

「だってなんかそわそわするんだもん!!」


もういっそ風船コーナーのヘリウムガスでも吸って、変な声でも出して子供達と遊んでいた方が気が紛れそう。


「一花……今、『ヘリウム吸って子供達と遊んでようかな』とかバカみたいなこと考えてたでしょ!」

「いくらすみれでも怒るよ? なんで私がそんなバカみたいなことを!!」


私は風船コーナーとは逆の方を見て唇をとがらせ、すみれに図星をつかれた恥ずかしさからぎゅっと目を閉じる。

私、そんなに考えてること顔に出やすいのかな?


「あれ?」


なにかに気づいたようなすみれの声が聞こえて、思わず目を開けると。


「………!!?」


なんと目の前に立っていたのは。


「……せ、雪くん」


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