どうも、弟です。
「は、はじめまして……川滝 すみれです……雪くんのお話は一花からよく聞いてます……」
すみれも、私に隠れたままだけどちゃんと自己紹介できてよかった。
あの人見知りで初対面の人に対して声すら出せなかったすみれが、こうしてちゃんと話せたのはなかなかの進歩だと思う。
「あ、雪いた!!」
「雪~!!」
「!!」
声がした廊下の方を見る。
この声は……
「岩本くん、ミニカちゃん、来てくれてありがとう!!」
雪くんの元へ走ってきた二人。
やっぱり仲良しなんだね。
「んもうっ、置いていくなんてひどい!! 先に行っちゃったと思って30点男と校内探し回ってたのよ?」
ミニカちゃんが雪くんの腕に自分の腕をまわして甘えた声を出す。
仲良しなだけ……それがわかってるのにどうしてか、こんなにもモヤモヤしてしまう。
「おい、今回の実力テストは38点だって言ってんだろ!?」
「うっさいわね!」
「……ね、一花」
二人が口げんかを始めて騒いでいるとき、すみれがこそっと私に話しかけてきた。