どうも、弟です。

「秋くん、あの」

「一花」


いつの間に、ミニカちゃんから逃れたんだろう。

私が秋くんのお誘いに答えようとした時、雪くんのあたたかい手が私の手を握ってきた。


「案内してよ、一花の学校!」

「えええっ!?」


雪くんは私の手を握ったまま走り出して、そのまま引っ張られるように廊下を二人で走った。

廊下の突き当たりにある階段を上って、また少し走って。

休憩スペースまで来たところでやっと雪くんは立ち止まってくれた。

手は、繋がれたたままだけど。


「はあ、はあ……もう、雪くん……!!」


乱れた呼吸を整えるように大きく深呼吸をして雪くんを見ると、雪くんは満足げに笑みを浮かべている。


「なんでこんなことするの、せっかくみんなと文化祭楽しもうと思ってたのに……」

「じゃあなんで俺の方見たの?」


どきんっ、と大きく心臓が跳ね上がった。

そりゃそうだよね、さすがにあんなにあからさまに目を逸らされたら、誰だって嫌な気持ちになるよね…


「変に目を逸らしちゃったのはごめん…でも、私はみんなと…」

「そうじゃなくて」


繋がれたままの手をぐいっと引っ張られて、反対の手で私の頬に手を当てる雪くん。


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