どうも、弟です。
「俺と、一緒にいたいんじゃないの?一花」
「……っな、んで……そうなるの…!」
こつんと私のおでこに、雪くんのおでこが当てられる。
赤い瞳にとらえられて、さっきどうやって目を逸らしたっけ、なんて考えてしまう。
だって、さっきみたいに逸らせない。
「一花、俺が来るの待ち遠しくてそわそわしてたんでしょ?だから生徒玄関前で待っててくれてたんでしょ?」
雪くんの言葉が妙にすんなりと入ってくる。
その通りだから……なんだろうな。
お客さんが入ってくる度に、『雪くんかな』って見てる自分がいた。
でもそれは、弟みたいな雪くんが学校に来てくれるのが嬉しかったから…だよね。
「俺は、楽しみにしてた」
「……え?」
真面目な顔をしてたのに、一気に力が抜けたような、ふんわり柔らかな笑顔を浮かべる雪くん。
「勉強以外で一花と会えるの、すっげえ楽しみにしてた」
「……っ!?」
子供みたいににこっと笑う雪くんに、不覚にもドキッとしてしまった。
なに、その笑顔。
私と会えるの楽しみにしてたの?
私に会えるから、文化祭に来てくれたの?