どうも、弟です。

ミニカちゃんと距離が近い雪くん。

さっきの苦しそうな切ない表情の雪くん。

雪くんのこと、思い出すと苦しい。


「もうすぐ交代の時間だし、私お客さんの呼び込み行ってくる…!!」

「一花」


教室を出ようとしたとき、すみれに呼び止められた。


……たぶん。


雪くんと同じ空間にいると、胸が、息が苦しくなってしまうから。

すみれといると、今まで逃げてきた本当の気持ちを言い当てられてしまうから。

それが怖くて教室を出ようとしてたことにすら、すみれは気づいてたんだと思う。


「……後悔だけはしないようにね」


すみれのその一言で、十分すぎるくらいのダメージを喰らった私は、小さくうなずくと逃げるように教室を出た。


「はあ……」


教室から出た途端、重いため息が漏れる。

とりあえず交代の時間までもう少しあるし、お昼時に合わせてお客さんを呼び込まなくちゃ。


「こちらで喫茶店やってます!いらっしゃいませ~!」


人前で大きな声を出すなんていつぶりだろうか。

……いや、たぶん初めてかも。


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