どうも、弟です。
10 ぶつかる本音
― 雪side ―

「ミニカの奴、どこ行っちまったんだろうな」


向かいの席でカフェラテにガムシロを入れるリュウが、森野が出て行った先の廊下をみてそう呟いてやっと気づいた。

そういえばさっきまでそこに立っていた一花もいなくなっている。


「……あいつ、また何かやろうとしてんのか…?」


こういうとき、考えたら考えるほど嫌な考えしか出てこない。


「雪、おまたせ」

「……」


笑顔で俺を呼んだのは、秋だ。

お盆の上にはブラックコーヒーが湯気をたてている。


「………」


しかしすぐにそれから目を逸らせば、上からため息がこぼれるのが聞こえた。


「そんなにあからさまに怒るなよ~」


秋が申し訳なさそうな声を出して、その場にしゃがむ。

顔をテーブルの上に乗せるようにして俺の顔をのぞき込んでくるけど、俺は意地でも目を合わせないようにと逆方向を見続けた。

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