どうも、弟です。
「雪、落ち着けって……」
「うるさい触るな!!」
差し伸べられた手を振り払う。
思ったよりも強く払ったせいで、当たった自分の手が少し痛かった。
「一旦場所を移そう、雪」
「……っ」
ぐっとこらえる。
このまま言いたいことを言ってしまえたらどんなに楽だろう。
このままの勢いで、溜まっていたものをはき出せたら、どんなに楽だろう。
今、場所を移して再度秋と向き合っても、その時同じようにはき出せる気がしない。
それくらい、我慢することに慣れてしまっていた。
ふと、驚いた顔をしているリュウと目が合う。
そりゃそうだ、滅多に大きな声なんて出さないから。
周りの視線も俺と秋に集まっているのにやっと気づき、俺はゆっくりと立ち上がった。
「……わかった、移動する」
……この場に一花がいなくてよかった。
こんなガキみたいなところ見られたら……。