どうも、弟です。

＊＊＊

秋と一緒に廊下へ出て、少し歩いた先の休憩スペースの奥……おそらく秋たち生徒が準備などで使っているであろう空き教室に通される。


「……ほら、ここならいくらでも話せるから」


秋が俺を真っ直ぐ見てくる。

『何でも受け止めてやるから、ぶつかってこい』

そう言っているような目だった。


「……」


けれど、やっぱりさっきまでの感情が、熱が、ほぼ落ち着いてしまっていて。

いざそんな態度を取られても、なかなか言葉なんか出てこなくて。


そうやってまた、沈黙が流れる。

これじゃあ家にいるときとなんら変わらない。


「雪、俺のこと嫌いだったんだ」

「……むしろ、気づいてなかったのがびっくりなくらいなんだけど」

「いや…反抗期かと思って思ってたからさ、本当に嫌われてるなんて思ってなかった」


秋は笑っている。

でも、さっきまでの笑みなんかじゃないことはすぐにわかった。


無理して作った笑顔だ。

笑おうとして、口元が引きつるだけで終わってしまっている。