どうも、弟です。


『大変申し訳ありませんでした』

俺がケンカして怪我させた奴の家にも、ついて来てくれて一緒に頭を下げてくれた。


『弟は人の物に手を出すようなバカじゃありません』

学校で盗難騒ぎがあって真っ先に俺が疑われたときも、学校まで来て先生を説得してくれた。


『雪、兄ちゃんがついてるからな』

小さい頃、お仕置きとして入れられた押し入れの中で。

そう言って秋も押し入れの中に入ってきて手を握ってくれていた。


『雪、一緒にごめんなさい』

秋は何も悪くないのに、一緒に親に謝ってくれた。



そんな、いい思い出たちがバカみたいに鮮明に流れてくる。

それがうるさくてたまらない。



『まったく、どうして秋の弟なのにこんなに頭が悪いのかしら』

『秋の弟なんだから、もう少ししっかりしなさい』



秋がいいお兄ちゃんでいればいるほど。

俺は、悪い弟になっていくんだ。




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