どうも、弟です。
考えてみたら秋は、いつもこうして冗談だと言って真面目な雰囲気をぶちこわす奴だった。
もしかしたらそれすらも、俺の事を考えてのことだったのかもしれない。
今ならこうして秋の行動がすっと受け入れられる。
「まあでも、半分はやっぱり合ってるわけで、みんなから褒められる部分も合ったとは思う。けど『いいお兄ちゃん』って、親にとっては『手がかからなくて楽なお兄ちゃん』ってことでもあるわけだ」
「……それの何が悪いんだよ」
「そう思うじゃん? でもさ、寂しいもんだよ」
「意味がわかんない」
手がかからなくて、嫌がる親はいないだろうに。
父さんも母さんも俺につきっきりで、秋がそういう奴だったから、助かったろうに。
手がかからない分、俺に……
「………あ…」
秋の言うことをやっと理解したとき、声が漏れた。
秋は、ずっとそんなふうに思ってたんだ。
自分よりも相手にされている俺を見て、寂しくて、羨ましくなってたんだ。
「けど、俺がそこで悪いお兄ちゃんになったら、父さんも母さんも大変だろ?」
「秋……」
「『いいお兄ちゃん』だって、実は大変なんだからな弟よ」
ニッと笑った秋は、俺の頭を力強く撫でた。