どうも、弟です。
「……まあ、兄弟の話は一段落したところだし、今度は男同士の話でもしようか、雪」
「!!」
ハッとした俺は、頭に乗せられている手を振り払った。
「俺、諦めたわけじゃないから」
「……え?」
「一花がお前を好きだって言うから、お前らの邪魔はするつもりないってだけで……諦めたわけじゃ」
「………」
俺の言葉を聞いた秋は、なぜか驚いたように目を大きく開けて俺を見てきていた。
アホみたいに口も開けられている。
「……なに、その反応」
「いや…え? ちょっとまって……え?」
「だからなんだよ」
「待って、俺一人だけ時間の流れ方が特殊なのかも知れないちょっと待って今なら過去に戻れる力があるのかもしれないから」
自分の顔を覆うようにして、何かを整理するみたいに頭を横にブンブン振っている秋。
わけのわからんことを言っているのは、たぶん最近秋がハマっている漫画のせい。
「おい、ふざけてんならもう行くけど」
「待って雪」
扉に手をかけたとき、その腕をつかまれた。
今度は何だと、ため息をついて秋を見る。
「……大事な……話がある……!!」
「なに、過去に戻って何か確認してきたわけ」
「そう確認してきた……って雪、ふざけてる場合じゃないだろ」
「お前が言うな!!」
そして俺は、衝撃的事実を秋から聞かされたのだった。