どうも、弟です。
11 できれば今年の
文化祭も無事に終了し、いよいよ受験シーズンとなりました。
今日も私は雪くんのお部屋で家庭教師をやらせてもらっています。
「一花ぁ~、これの答えは?」
「もう、自分で解かないと意味がないでしょ」
「じゃあヒントくれよ!」
「う~ん……じゃあここの空欄の中を先に埋めていってみようか」
「そんなこともわからないなんてさすが30点男ね、頭の悪さが伝染っちゃいそうだわ」
「俺はもう50点男だ!!」
「おまえら………」
一人勉強机に向かって黙々と勉強していた雪くんが、くるりと椅子を回転させて私たちの方を見る。
「…………うるさい」
真顔で一言そう告げると、また机に向かってくるりとまわり再び勉強を始める。
雪くんがまたイヤホンをしたのを確認した私たちは、クスクスと静かに笑った。
そう、いつの間にかこうしてリュウちゃんやミニカちゃんも、雪くんの部屋に集まって三人分の勉強を見るようになっていた。
といっても、ミニカちゃんはほとんど心配いらなくて、確認で私に聞いてきてくれるくらいで。
問題のリュウちゃんも、コンスタントに1教科50点は超えられるようになってきた。
雪くんは、今みたいに一人で黙々と机に向き合っている。
みんな、受験に向けて勉強にもより熱心になってきていて、私も頑張らなくちゃとやる気が出てくるよ。