どうも、弟です。
***

「じゃあなー一花、雪!」

「また明日ね雪~!」


暗くなる前に、玄関の前で解散をした。

リュウちゃんとミニカちゃんは私の家とは反対方向なので、帰りはいつも一人。


「じゃあね雪くん、お疲れ様」


外まで出てきてくれた雪くんに声をかける。

……今日も、ほとんどお話できなかったな、なんて寂しくなったけど、受験シーズンなんだし仕方ないよね。


「一花」

「え?」


手を振って雪くんに背中を向けた瞬間、名前を呼ばれて振り返る。

でも、私が振り返るより先に雪くんが私の視界に入ってきたことで、雪くんが歩いてきて私を追い越したことに気づいた。


「雪くん……?」


私より二、三歩前にいる雪くんが足を止めた。


「送ってく。寒いし、すぐ暗くなるから」

「でも私、高校生だし大丈夫だよ?」


本当はそう言われて嬉しいくせに、わざと年下扱いして大人振って、それを隠そうとする素直じゃない自分。

せっかく、二人っきりになれるのに。


< 212 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop