どうも、弟です。
それなのに、心は浮いてるみたいにふわふわして、落ち着かない。
緊張しているのとはまた違った感覚。
落ち着いてるときの状態を忘れてしまったみたい。
体まで平衡感覚を失って、くらくらしてきた。
それでも……目を逸らすことはできなかった。
「一花、今までたくさん傷つけてごめん」
「………うん」
「一花、めちゃくちゃかわいい」
「………うん」
「……一花」
コツンと雪くんのおでこが、私のおでこに当てられる。
落ち着いてるように見えていたけど、やっぱり雪くんもドキドキしてたんだね。
だってこんなに、熱いんだもん。
「雪くん」
私は、雪くんの言葉を遮るように名前を呼んだ。
「私……先にやらなくちゃいけないことがあるの」
雪くんの肩に手を置いて、少し距離を置く。
すっぽり私の視界に雪くんの顔がおさまって、その不思議そうな顔がおかしくてちょっと笑った。