どうも、弟です。
「一花、かわいいよ! 頑張れ!!」
「うん、すみれもかわいいよ。…頑張るから、頑張れ!」
「え…っ」
頑張れって言われると思っていなかったみたいで、すみれはびっくりしたような声を出す。
詳しくは聞いてないから何もわからないけど、たぶん今日はすみれも頑張る日だと思った。
だって、すみれも一緒に可愛い服を選んだり、お化粧道具をそろえたりしたの、今回が初めてだったから。
……恋したからわかる、恋した友達の変化を感じ取った。
「一花は、本当に私の憧れで、私のヒーローだよ」
「……っ」
花火大会の日の、すみれの言葉を思い出す。
あの日も、そう言って私を励ましてくれた。
だけど、そんな事言ったらすみれだって……
「ばか、すみれだって私のヒーローだよ」
「えっ、私が!?」
「すみれがいなかったら、頑張れなかった時がたくさんあるもん。だから、お互い様だよ」
「一花……ありがとう」
すみれが嬉しそうに笑うから、私もつられて笑った。
そして、今日は頑張ろうねって言って、すみれの家を出る。
『明日の夕方5時、あの公園で私と会って下さい』
昨日、あの人に送ったメッセージを見直して、時計を確認する。
約束の時間まで、あと20分だった。
「………よし」
冷たい空気を大きく吸って、一気にはき出し、気合いを入れて公園に向かって歩き始めた。