どうも、弟です。

「一花、かわいいよ! 頑張れ!!」

「うん、すみれもかわいいよ。…頑張るから、頑張れ!」

「え…っ」


頑張れって言われると思っていなかったみたいで、すみれはびっくりしたような声を出す。

詳しくは聞いてないから何もわからないけど、たぶん今日はすみれも頑張る日だと思った。

だって、すみれも一緒に可愛い服を選んだり、お化粧道具をそろえたりしたの、今回が初めてだったから。


……恋したからわかる、恋した友達の変化を感じ取った。


「一花は、本当に私の憧れで、私のヒーローだよ」

「……っ」


花火大会の日の、すみれの言葉を思い出す。

あの日も、そう言って私を励ましてくれた。

だけど、そんな事言ったらすみれだって……


「ばか、すみれだって私のヒーローだよ」

「えっ、私が!?」

「すみれがいなかったら、頑張れなかった時がたくさんあるもん。だから、お互い様だよ」

「一花……ありがとう」


すみれが嬉しそうに笑うから、私もつられて笑った。


そして、今日は頑張ろうねって言って、すみれの家を出る。


『明日の夕方5時、あの公園で私と会って下さい』


昨日、あの人に送ったメッセージを見直して、時計を確認する。

約束の時間まで、あと20分だった。


「………よし」


冷たい空気を大きく吸って、一気にはき出し、気合いを入れて公園に向かって歩き始めた。




< 226 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop