どうも、弟です。
***

「……あ」


公園に着くと、もうすっかり見慣れた男の人がベンチに座っていた。

その人は私の姿を見つけると、子供みたいにあどけない笑顔を浮かべて私の名前を呼ぶ。


「一花ちゃん!」


私も、そんな彼の元に走り寄る。

まだ時間まで少しあるのに、先に着いてたんだね。

鼻が赤くなってる。


「急に呼び出してごめんね、来てくれてありがとう……秋くん」


私がそう言うと、秋くんは首を左右に振ってまた笑顔を向けてくれた。


「今日ね…秋くんに聞いて欲しいことがあって」

「うん、なんだって聞くよ」


私の憧れの人。

私の初恋の人。


その人に私は、緊張で震える手で、あるものを差し出した。



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