どうも、弟です。

伊達眼鏡で人との壁を自ら作って

自分自身を隠すみたいに前髪を長く伸ばして

あなたに私として認知してもらいたいって思っていたくせに

勇気が出なくて空気みたいな存在に自ら望んでなろうとしていた。


そんな、教室の隅っこでいつも静かに空気として過ごしていたあの頃の私を……。


「……風晴…一花…………」


秋くんが、やっと見つけてくれた。


「…え、でもここに写ってる子……え…だって全然……え……!?」


卒アルに写っている私と、目の前の私を何度も見比べては驚きの声を漏らす秋くん。

それくらい変われたんだ。

私は、やっと本当の意味で秋くんに私という人間を知ってもらえた。


「あははっ、秋くん、驚きすぎだよ……」

「だって、え、なにこれ本当にあった怖い話!?」

「ちなみに私の二人前の子の名前は?」

「えっと……川滝…すみれちゃんんん!?!?」


やっぱり秋くんは、私だけじゃなくてすみれのことも認知してなかったみたいだ。


「うわ、まじかよ中学の時の俺……同じクラスの子知らなかったとか洒落にならないぜ……」


片手で頭をくしゃくしゃと掻きながら、大きなため息を吐く秋くん。

それは一瞬白くなってから冬の寒空に消えた。


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