どうも、弟です。

「……ごめん、一花ちゃん…全然気づかなくて……俺、一花ちゃんのことめっちゃ傷つけてた…」

「その頃から、私は秋くんが好きだったよ」

「……え?」


秋くんがあまりにも驚くから、いつの間にか私の緊張も吹き飛んでしまった。


あんなに知られるのが怖かった事実。

あんなにも隠したかった事実。

それを今、あなたとこんなふうに話せる日が来るなんて思わなかった。


「秋くんに私の存在を気づいて欲しくて、頑張って変わったの。最初は諦めて別の高校に行こうと思ってたけど……」

「………けど?」

「雪くんに、会ったの」

「雪に!?」


今日私に会ってから、一体何度驚いたんだろう。

聞く度に大きなリアクションが返ってくるおかげで、不思議と楽しさまで覚える。

今まで見せてきた手品のネタばらしをしている気分だよ。


「ケンカしている雪くんを、てっきり秋くんだと勘違いしちゃって。私が憧れていた学校での秋くんは全部嘘で、あっちが本性だったんだ、騙された!って思って」

「なにそれ~……俺がケンカできるわけないでしょ一花ちゃん……」

「でもそのおかげで、私は秋くんを見返すために無事に高校デビューできたんだよ。初日から自己紹介されて、あの日は複雑だったなあ」

「なに同中の子に自己紹介してんだよ俺……」




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