どうも、弟です。

「……あのね、雪くん」


繋がれたままの手を、ぎゅっとにぎる。

胸がドキドキしてる。

きっとこんなに大きくて綺麗なツリーを見たせいだ。


息を大きく吸い込む。

冷たい空気が肺いっぱいに広がって、今度は時間をかけてゆっくりはき出す。

私の中の熱で暖められたそれは、湯気みたいに白くなってはすぐに消えていった。



「雪くんが好きです」



雪くんの栗色の瞳を見て

真っ直ぐ見て

ずっとずっとあなたに伝えたかった言葉を声に乗せた。


その瞬間、さっきまで流れていたクリスマスソングやざわめいている人の声が何も聞こえなくなって。


ふいに引っ張られる。

そのまま引き寄せられて、雪くんの胸に頬が当たった。


それは一瞬の出来事のはずなのに

抱きしめられるまでの時間だけがゆっくりと流れた。


雪くんの胸と、意外と力のある細い腕にしっかりと挟まれて

自分の中のなにもかもが無くなって、私が空っぽになったみたいにとても気持ちが軽くなった。


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