どうも、弟です。
***

「落ち着いた?」

「………うん」


鼻をすすると、ずび……っと音がした。

あれからどれくらい泣いていたんだろう。

どんなに泣いても、まだまだ溢れると思った涙も、もうこれ以上泣くことができないというポイントがあったみたいで。

泣いた後の腫れぼったい目の縁が、冷たい空気に触れてひりひりする。


「どっちが年下かわかんないね」

「うう……返す言葉もございません……」


私たちは近くのベンチに座ってクリスマスツリーを見上げていた。


「ねえ」

「…え……」


何の前触れもなく、雪くんが私を見て何かを差し出していた。

いつ手に持っていたんだろう。

小さな箱を私に差し出して、真面目な表情で雪くんは真っ直ぐ私を見て言った。


「俺と、付き合ってください」

「……っ」


心臓が大きく跳ねて、そのまま早鐘を打つ。

そのせいで雪くんの声が聞こえなくなりそうで、必死に全神経を雪くんの声に集中させた。


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