どうも、弟です。
背筋を伸ばして、改めて。
「入学、おめでとう!」
「っ」
自分のことのように嬉しくて、お祝いしてあげたくて精一杯の笑顔で言ったつもりだったのに。
なぜか雪くんの顔がぽっと赤くなった。
どうしたんだろう?
「あれっ? 雪くん?」
しかも腕で顔の半分を隠して目を逸らすから、私は意地でも目を合わせようと雪くんの顔を追いかけてのぞき込む。
「うるさい」
「まだ何も言ってないよ!」
「マジでうるさい」
「ねえどうして目合わせてくれないの~!!」
絶対に目を合わせようとしない男:雪くんVS絶対に目を合わせたい女:一花
「レディー、ふぁいっ!!」
「上等、泣かす」
「えっ」
襲いかかろうとした瞬間、さっきまで可愛らしく赤くなっていたはずの雪くんの顔が
一瞬で悪魔のような冷笑に変わっていた。