どうも、弟です。

こわい。

こわい。

この冷たい声……間違いない。


あの日、あの路地裏で血みどろになってケンカしていた人は

私にはっきりと「ブス」と言ったのは


……秋くんじゃない。


間違いなくこの人だ……!


私の大馬鹿者。

本当に、どうして今まで気づかなかったんだろう。

よく考えたらあの日の彼は秋くんに比べて身長も低かったし、暗くてよくわからなかったけど、髪の毛野色……は秋くんと同じだったか……。

今は、染めてしまったのか、あの時のような暗い茶髪では無く、白に近いきれいな銀髪だけれど。


私は、手を伸ばせば触れてしまいそうなくらい、すぐ目の前にいる弟くんへちらりと目をやる。

……弟くんは、自分の椅子に座っている。

足は組んでいて、机に頬杖をついた状態で私を舐めるようにジロジロ見てきた。


「っ!!」


目が合ってしまった!!!!

なにか悪いことをしてしまったかのような感覚。

これから警察に連れて行かれるんじゃないかと思ってしまうほどの緊張感。

全身の筋肉が固まって指先はすでに冷たくなっていた。



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