どうも、弟です。
「っは、冷た」
私が緊張していることに気づいた弟くんは、馬鹿にしたように鼻で笑った。
体の抹消は緊張で冷たくなっているはずなのに、それとは反対に体の中心が、かああっと燃えるようなくらいの恥ずかしさがこみ上げてくる。
何よ、仕方ないでしょう。
男の子の部屋に入ったのも、男の子にこうして触られたのも、初めてなんだもん。
しかもそれがあの時血みどろになってケンカしていた人だって知ったら、こわくて余計緊張しちゃうのは当たり前のことでしょう!?
まあ、君は私のことなんか忘れてるみたいですけどね!!
「……っ」
恥ずかしさと、どうしようもない怒りみたいな感情がわき上がってきて一気に体が熱くなる。
それと同時に耳の内側からはゴーゴーとしたような爆音が聞こえてきて、それを塞いで叫びたくなるのを必死に抑えた。
「……おねーさん……」
ふと、さっきまで馬鹿にしたような笑みを浮かべていた弟くんが何かに気づいたように私を呼んだ。
「え…?」
私はそれに応えるように、床に落としていた視線を弟くんへと戻す。
弟くんの栗色の瞳と、目が合った。
………時だった。