どうも、弟です。
***

「……ってことがあって……」

「え、じゃあ、もしかして一花、そのままオトナの階段まで上っちゃったってこと……!?」

「バカ、なんでそうなるのよ!!」

「ふがっ」


箸でつまんでいた卵焼きを、すみれの口に無理矢理突っ込んでやった。


「その場にいることができなくて、秋くんに何も言わずに家を出ちゃって……」

「……そのまま、今日に至る、と」

「はい……」


すみれの言葉に、がっくりと肩を落とした。

もう二度と秋くんの家に行きたくない……。

あの弟くんの何でも見透かしたような目が、とても苦手だ……。


でも、あの日のケンカをしていた人が秋くんではないってことがわかったわけだし……

私、秋くんのこと、また好きになっても、いいのかな……。


そこまで思って、胸の辺りがぽわっと温かくなった。


と、そのとき。


「いたいた、一花ちゃん!」

「っ!!」


突然呼ばれた名前に、びくりと肩をふるわせた。



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