どうも、弟です。

「昨日、部屋に行ったら一花ちゃん、いなくて」

「……」

「どうして何も言わずに帰っちゃったの? 俺、帰り送ったのに」

「……」


言えない。

弟くんとの会話なんか、秋くんに会えるわけないよ……。


「まさか、雪のやつ、一花ちゃんに何か失礼なことでも……!?」

「ちっ、違うよ秋くん、そんなことはなくて……」


少し震える声のまま、続けた。


「用事を思い出して、急いで帰らなくちゃいけなかったの」

「……本当?」

「うん。だから昨日は弟くんに何も教えてあげられなかったの」


私の話を聞いてほっとしたのか、秋くんは力が抜けた表情を浮かべて「そうだったのか……」と呟いた。


「だから、せっかく頼んでくれたのに……ごめんなさい」

「いいんだよ、そんなこと気にしないで? 無理に頼んでるのは、こっちなんだしさ」


とりあえず、この流れで上手く話を終わらせなきゃ……!!


「その、またいつか、お互いに機会があったら……」

「そういえば一花ちゃん、毎週何曜日だったら大丈夫?」

「???」



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