どうも、弟です。
ちらりと隣を歩く秋くんを見る。
……幸い、私が秋くんと同じ中学校だったことには気づいていないみたい。
この間、すみれに言われたことを思い出す。
今度こそ、素直に秋くんに……アタックできるかな。
心から秋くんが好きって気持ちをぶつけてもいいのかな。
「……」
すみれに言われたとおり、私は変わる事ができたのかもしれない。
ほんの少しかも知れないけれど、私にとっては大きな変化だと自分では思うし……。
……中学校の時の自信のない私と、今は、違う。
見た目も中身も、弱くて醜かった自分とは、さよならしよう。
そういう意味では、秋くんの弟くんとの出来事に感謝しなくちゃいけないのかもしれない。
過去を乗り越える意味でも、次は弟くんの攻略だ……!
「一花ちゃん?」
「……えっ?」
いけない、考え事してたら秋くんの言葉が全然聞こえてなかった!!
「大丈夫?考え事?」
「ううん。ごめんね、大丈夫……」
秋くんに声をかけられたことでやっと気づいた。
私たちは、いつの間にか秋くんの家の前まで来てしまっていた……。