どうも、弟です。

弟くんから声をかけられ、我に返った私はすぐに彼へと視線を戻す。


「あんた、いつまで俺のこと『弟くん』って呼ぶわけ?」

「え……」


だって、弟くんは弟くんだしなあ……


「普通に呼べばいいじゃん」

「普通……に?」


椅子をくるっと回転させ、私の方を向いた弟くんが私の腕を軽く引っ張ってきた。


「わっ!?」


突然のことにバランスを崩してしまう。

しかし、弟くんがしっかりと私を抱き留めた。


「どんくさ」

「……っ」


私の耳元で、おかしそうに鼻で笑う弟くん。

あまりの密着に、顔や体の熱が一気に上昇して、何も言い返せないのが悔しい。


本当は、何するのよってひっぱたきたいし、離れたいのに。


慣れない男の子の体に触れられると、どうしても動けない……。



< 76 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop