どうも、弟です。

「ね、呼んでよ。『雪』って」

「……っ」


吐息と共に聞こえてくる弟くんの声。


「ねえ」

「っ」


ずるい。

わざと耳に口元を近づけて、わざと息がかかるような話し方で、呼ぶんだもん。


……ずるいよ。



「俺も呼んでい?」

「……」

「一花」

「!」


名前を呼ばれた瞬間、体がびくりと反応して、思わず弟くんの体にしがみついた。


「呼ぶまで離してあげないよ?一花」

「~…っ!!」


本当にずるい。

私が男に免疫ないの知っててこういうことするんだ。



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