どうも、弟です。
「じゃあ、また明日ね」
「うん、またね」
放課後、家が反対方向のすみれに手を振る。
学校のグラウンドの方から、野球部や陸上部などの声が聞こえる。
私は特に部活に入っていなかったけど、帰り道に聞く部活動の声や音は、なんとなく好きだ。
「お母さん、志望校聞いたらびっくりするかな」
なんの取り柄もない私が、県内一高い偏差値の高校を受けるなんて、思ってもいないだろうな。
……まずは部屋から今までのクラス成績や模試の結果を集めて、証拠としてすぐお母さんに見せられる状況にしておかないと。
などと、家に帰ってからの事を考えているときだった。
「……ん?」
いつのまにか学校からは遠く離れ、いつもの部活動の音はすでに聞こえなくなっているはずなのに。
「……ッ!!」
「~!?……!、!」
人通りの少ない路地。
なにやら人の叫ぶ声のような音が聞こえる。
「……なに…?」
私は、声が聞こえる路地裏へと恐る恐る足を進めた。