どうも、弟です。

そう思って、すみれをひと睨みする。

しかしすみれは舌をぺろっと出して笑って見せてきただけだった。


こいつ……そんな顔できるんだったら高校デビューだってできただろうに……!!


「今、教室出るから待ってて」

「りょーかい!」


私の言葉を聞いた秋くんは、笑顔で敬礼のポーズをして教室の出口に向かって行った。

それを確認して、ひとつため息をこぼした。


「あー、びっくりした……もう、教えてよすみれ!」

「やだ、今日の一花怒ってばっかり! 美容に悪いぞっ」

「余計なお世話よ!」


荷物を鞄に仕舞い、立ち上がる。


「一花……」

「ん?」

「気を付けてね? やっぱり、心配は心配だから」


さっきまでふざけていたはずなのに、急に悲しそうな顔でそんなことを言ってくるのは……ずるくないですか?


「大丈夫!絶対満点取らせてみせるから!! じゃあまた明日ね!」

「うん!頑張れ一花!!」


すみれに手を振り、教室の外で待っていてくれた秋くんと合流した。



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