どうも、弟です。
「嬉しいな……」
自然と言葉が漏れた。
変な満点ゲームだけど、やっぱり一生懸命勉強してくれているのが嬉しい。
すみれにも話したけれど、血みどろになってケンカしていた雪くんからは考えられない成長ぶりじゃないかと思う。
だって、教科書だって折り目やシワのひとつない綺麗な状態だったし。
こうして雪くんの変化を間近で見て感じることができて、嬉しいな……。
「あのさ、一花ちゃん」
名前を呼ばれ、秋くんを見上げると。
秋くんは私と目が合うと、にこりと微笑んだ。
「雪のために、頑張ってくれてありがとう」
「えっ……」
予想もしていなかった秋くんからの言葉に、びっくりして声が出てしまった。
お礼を言われるようなこと、何もしていないのに……。
「わ、私……お礼を言われるようなことなんて……」
その言葉と、秋くんの笑顔で、私は恥ずかしくなってまた下を向いた。
秋くんの笑顔にもやっと最近になって慣れてきたはずなのに……
やっぱりまだ、ずっと目を合わせていられるほど免疫はついてないみたいだ。