嘘つきシンデレラ
「何か話でもあったのか?」
「別に。
ロスでだって、上手くいっているし」
兄貴が、少し間をおいて言う。
「そうか。
なんかあれば
…電話すれば?」
「…ああ」
「あの子、さとみちゃん。
いい子だね。」
「…ああ」
「あの子のこと、真剣なの?」
「…
そういうんじゃない。」
「兄貴にあってるよ。
さとみちゃん。」
「何言ってんだ。
うちには、一番似合わない子だ」
「俺も最初、そう思ってた。」
兄貴があの子に本気のわけない。
うちでは、生きていけないって。
「でも、もし、このうちの流れ。」
葛西至上主義の非人間的な世界。
「ぶち壊せる人がいるとしたら、
兄貴しかいないじゃん。」
兄貴が驚いたように、
こっちを見ている。
ごめんな。
兄貴。
俺も、プレッシャーかけているよな。
でも、
そんな未来が見たいんだ。
兄貴がさとみちゃんを選ぶ
そんな未来。
「何言って…」
兄貴か、珍しく戸惑った様子で言葉をきる。
「まあ、いいや。」
空を見上げて
「兄貴が、もたもたしていたら、
さとみちゃん、俺がもらうから」
兄貴に笑顔で告げた。