嘘つきシンデレラ
さとみはバルコニーに出た。
天気が良くて、暖かい。
他の建物より高い分、空が近く感じる。
社長の家全体を囲むように
作られているバルコニー。
奥行があって広くて、
どの部屋からも出れるような造りになっている。
趣味良く配置された観葉植物や、
籐で編まれたようなブラックのアームチェアがあり、
同じテイストのダブルソファが
テーブルをはさんで置かれている。
すごい贅沢な景観に、贅沢な場所。
でも、社長がバルコニーにいるのなんて、
見たことないけど。
さとみは知らなかった。
その時、ハウスキーパーが家に来ていたことを。
このハウスキーピングの契約は、
社長の仕事と連動されることになっていた。
つまり社長が不在の時間に合わせて、
家に入り掃除を行うことになっている。
いつものように仕事を済ませ、
ハウスキーパーは家を後にした。
しっかり、戸締りも忘れずに。