嘘つきシンデレラ
ソファから、力強い腕に引き上げられて、
社長との距離が近い。
ゴツゴツした、男の人の手。
こんな時なのに、ドキっとしてしまった。
だって、こんな近いの初めてで。
綺麗な男の人。
目の前にいる社長が、さとみの目を見て言った。
「もちろんこんな博打みたいな契約。
手付くらいはもらうよ」
うっすら 社長が意地悪そうに 口の端をあげ笑う
「??」
何を手付?
意味が呑み込めていない表情のさとみ。
社長がゆっくり、私を引き寄せた。
え?
ドキ
「お前、他に何か持ってんの?」
社長の腕の中
かすかに社長のムスクのような
香り。
自分の心臓の音が聞こえる。
至近距離で見た社長の目の色はやっぱり
「何でもするんだろ?」
綺麗で、何もうつしていないガラス玉のようだった。