嘘つきシンデレラ
ベッドに
肩の高さで バンザイをしたような体制のまま、
社長を見上げているさとみ。
両腕をついて、さとみを見おろしている社長。
急に現実に帰ったような空気が通りぬける。
吐息だけが聞こえる静寂の中
まだ余韻の冷めやらぬ目で、
さとみを見つめていた社長の手が動く。
親指が優しく、
さとみの頬から、くちびるへとなでる。
ふくれて熱いさとみのくちびるが、震える
社長。わたし
そう、さとみが声を発する前に。
「これが、お前のできること?」
皮肉な表情でもなく、
ただ質問するように社長が言った。
私は社長が……。
さとみの言葉は音にならない。