嘘つきシンデレラ
いつまでも、引きこもっているわけにもいかない。
みんなに迷惑かけるし。
それに、もういるわけない。
時間を無駄にする人じゃないから。
さとみは意を決してお店に出た。
混雑するランチタイムをやりきり、
お店がひまになる15時ころ。
やっと、気持ちが落ち着いて、
日常を取り戻してこれた気がする。
クウンクウーン。
裏につながれている太郎の
かわいそうな鳴き声が聞こえてきた。
いつもこの時間に、
さとみが散歩に連れて行ってくれるのを
覚えていて。
さとみの声が聞こえるのに、
さとみが来ないので、しびれをきらして
鳴き出したのだ。
ほんとは、外に出るの
ちょっと怖い。
でも
クウウン。クウウン。
さとみにほっとかれた太郎の悲しい声。