嘘つきシンデレラ
びっくりした気持ちのまま
社長を、見上げて
さとみの身体は
無意識に動いていた。
やだ、泣かないで。
社長が泣くなんて
私のことで、
泣くなんて
サー。
少し落ち着いた静かな雨音と
肌を濡らす空気の中
社長の低い声が聞こえる。
見たことのない社長の姿に
傷つきやすさが見えて
目を逸らさずさとみを見つめる
無防備な瞳。
あ。
数センチの距離の
社長の瞳の中に
私がうつってる。
社長の中に
確かにみえる
私の存在。