嘘つきシンデレラ
「あ、あの。すいません」
「私は大丈夫で」
慌てて、そう言いかけたさとみに、
社長が冷たく言った。
「初めてなんて、
めんどくせえだけなんだよ」
立ち上がる社長の背中に、
ギュ。
手元のシーツを握りしめて
さとみが急いで言う。
「そ、掃除します。得意なんで」
さっきぼんやりと、
こんなに広かったら掃除大変だろうな。
そう思ったことが口から出る。
「‥‥プロがいる」
振り返り、けげんな顔の社長が言う。
「でも、300万。
私にしかできないことって。
社長の望んでいることが、
社長のそばにいた方がわかるかもだし。
まだ、三か月あるし」
自分でも取りとめないこと言っているって、
わかっているけど。
何とか。
社長が黙っている。
葛藤しているような表情
「はー」
いらついたようにため息をつき、言った。
「三か月だからな」