嘘つきシンデレラ
葛西の名のもとに
社長室の窓から、街を見下ろして立つ葛西。
遠くまでそびえたつビル群に、太陽の光が反射する。
会社最上階の社長室から見えるその景色は、
朝日に輝いて、綺麗で……。
そのはずなのに。
葛西には無機質で、空疎に見えて
冷淡さを感じるだけだ。
高いところに住みたがるくせに
こんなにも
心には、なにも響かないなんてな。
ときどき思う。
ずっと一族を、
会社を背負うよう、育てられてきた。
会社を守るためにはしょうがない。
犠牲にしなければ、えられないものがある。
スキを見せるな。
義理や人情に足をとられていたら、
今の葛西コンツエルンは無かった。
もっと先へ
もっと、もっと高く
踏みつけにした足元を振り返っている
暇はない。
呪いのように落とし込まれた教訓。