嘘つきシンデレラ
真っ赤に色を染めた
さとみの泣きそうな顔。
涙で潤んだ瞳は
何かを訴えるかのように
葛西を見上げたけれど。
言葉は声にならない。
さとみは何も言わず、横を向いた。
好きにすればいい。
身体が伝えている。
「出ていけ」
葛西の手がゆるむ。
離した手から、さとみが逃げていく。
落ちていたTシャツを握りしめて。
自分が、追い出したはずなのに、
イラついた気持ちが
増してく。
さとみを追い詰めて。
何がしたかったのか。
おれは、あの傷ついた顔が見たかったんだろうか。