嘘つきシンデレラ
「社長はこわいー」
葛西の目が大きくなる
「怖くてー意地悪―むかつくー」
朝日に照らされて、白くひかるさとみ
「大魔王ー。こわいー」
思いつく葛西の悪口を歌詞にのせるさとみ。
リズムにのって、手が窓を拭く。
もう、入れなくなってしまった葛西。
下をむいたままリビングのドアの横。
腕を組んで、さとみの歌を聴いている。
「でも、頑張り屋さんー。
ほんとは優しいひとだよねー。」
「そして‥
社長はやっぱりーこわいー」
廊下で人知れず
葛西は思わず口を押さえて
笑ってしまう。
何なんだ、こいつは。
…先にシャワー浴びるか。
部屋に戻ろうとした葛西。
ガンツ。
続けて、ドン。
何かが倒れて、ぶつかったような音が響いた。