嘘つきシンデレラ
「いや。
嘘みたいにあたたかい話で、面白かった」
それは…皮肉?
さとみの顔をみて、社長が少し笑って言った。
「ほんとに。聞きいってた」
グラスを口につけて、社長が言う。
「で?」
「え?」
「お前のスペシャルは?」
一瞬。
黙り込んださとみは、
笑顔で言った。
「智くんと一緒なんです」
「野菜たっぷりの?」
「そう、塩麴の味付けがポイントで」
「いいな。
食いたいな」
社長がボソッと言った。
さとみの方を向いて言い直す。
「お前がそんな話ばっかりするから。
何か腹がへってきただろ」
時計に目をやる社長。
「そろそろ、寝るか」