嘘つきシンデレラ
放心したようにさとみを見つめていた
社長が
すっと、手を
落とした。
社長の目は雄弁で。
ふいに社長の中で
スイッチが切り替わったのが
さとみには、わかった。
そんなすぐには、
状況が切り替えられない
さとみが声をだす。
「社長?」
まだ、心臓はドクドクしていて
自分が熱くて
ぴたりと寄り添っていた熱がなくなって
寒いよ。
社長?
もう、社長の身体は
さとみに、半分背中を向けていて
社長?
表情が見えないよ
社長はさとみを見もせずに、
静かに言った。
「この関係を気に入ってるんだ」