嘘つきシンデレラ

焦れてくこころ




玄関のドアの開閉音。




あれ?




社長が帰ってきた?




キッチンでお昼ごはんを作っていたさとみが、




手を止める。




今の、ドアの音だよね。




珍しい。




ほんとに?




社長がこんな時間に帰ってくるなんて。




壁にかけられた時計は




正午の12時近くを指している。




今日は確か、出張じゃなかったのかな。


 

もしかして、今から出張とか?




あーでも




うれしい気持ちが止められない。




ウキウキしちゃう自分がいる。




社長に会える。




それだけで、こんなにも、




浮かれてしまう自分がいる。




さとみはエプロンで手を拭きながら、




急いで玄関に向かった。




大きな玄関ホールで。









だれ?




相手も驚いたように止まっている。




そこにいたのは、




まったく知らない男のひとだった。


< 92 / 248 >

この作品をシェア

pagetop