嘘つきシンデレラ
焦れてくこころ
玄関のドアの開閉音。
あれ?
社長が帰ってきた?
キッチンでお昼ごはんを作っていたさとみが、
手を止める。
今の、ドアの音だよね。
珍しい。
ほんとに?
社長がこんな時間に帰ってくるなんて。
壁にかけられた時計は
正午の12時近くを指している。
今日は確か、出張じゃなかったのかな。
もしかして、今から出張とか?
あーでも
うれしい気持ちが止められない。
ウキウキしちゃう自分がいる。
社長に会える。
それだけで、こんなにも、
浮かれてしまう自分がいる。
さとみはエプロンで手を拭きながら、
急いで玄関に向かった。
大きな玄関ホールで。
え
だれ?
相手も驚いたように止まっている。
そこにいたのは、
まったく知らない男のひとだった。