涙色パレット
萌が訊ねると、純一は顔を赤くしながら言った。

「君のことが、気になっている。生徒としてではなく……一人の女性として」

その刹那、こぼれていったのは「ありがとう」という言葉ではなかった。萌の頰を伝ったのは、一筋の涙。それは萌が初めて感じた感情によって流したものーーー。

「先生、よろしくお願いします」

萌はそう微笑み、涙を拭った。










< 10 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop