向かう先はおなじ
「着いたよ~」

「えー?私も着くよ!!コンビニ見えてるもん」

「早く早く~」

コンビニの駐車場に入ると、俊はコーヒーを

持った手で、

ここだよ!というように手を高く振り上げた。

私も思いっきり手を振り、車を駐車した。



「…ガチャ」

「桜~!!!」

「俊~!!!」

お互いの名前を同時に呼び、何よりも欲している

物をやっと手に入れたかのような

ガッツキぶりで、息が苦しくなるほど

抱き合った。



会いたかっただの、名前を呼ぶだの、

会話にならない、自分が言いたい事を必死に

話す。お互いよく耳には入ってなかったかも

しれない。



ようやく、お互いの顔を見て

「おはよっ!!!」

と言い、すぐにキスをする。



私は思わず、

「あれ?初めてしたちゅーなのに、すげー

ナチュラルなんですけどー?」

何度もしていたかのような、慣れたキスで

恥ずかしいと思う程の、気持ちの余裕も

時間の余裕もない。



そして、また重ねてキスをする。

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