あまい・甘い・あま~い彼が見つからなくて
***

翌日、早朝の朝日を浴びながら私は軽い日課であるランニングをして朝食をすませた。

朝イチからジムに行き、久しぶりに汗をかくつもりだ。

忙しくてジムに行くのも二週間ぶりだった。

更衣室でトレーニングウェアに着替えて、肩甲骨辺りまであるセミロングの髪を高い位置でポニーテールにした。

受け付けで

「おはようございます」

とジムのお姉さんに挨拶すると、カウンターからすぐさま飛び出し、ぱぁっと顔を輝かせて私の手を両手でしっかり握りしめた。

「久しぶりですね!ずっとお礼を言いたくってお待ちしてたんです!」

お姉さんは握った手を上下にふりながら興奮ぎみに捲し立てた。

「本当にありがとうございますぅ!
晒名さんが入会されてからぐーっと新規ご入会の会員様が増えたんですよぉ!

アイドルみたいな可愛い人がジムにいるって。

もう口コミでひろがって。
本当にありがとうございます」

笑顔で頭を下げられて私は困ってしまった。

なにしろ人との距離がうまくとれないのは相変わらずで、人付き合いがとても苦手だからだ。
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