あまい・甘い・あま~い彼が見つからなくて
はるとのお目当てのお店は、ジムから歩いてすぐの駅のそばにあった。

「あっ…」

とおもわず小さな声が漏れたそのお店は、双子の兄、颯馬と母が経営しているカフェが併設された洋菓子店だった。

「あみちゃんも知ってるか。
このお店フランスで有名なコンクールで入賞したパティシエがいるんだよな。

数年前帰国した時にテレビで騒がれてたイケメンパティシエで、すごく彼の作るケーキ美味しいんだよね。

俺ここのケーキ好きなんだよ」

「うん…私も好き…」

颯馬を誉められ嬉しくて笑顔を見せると、私と目があったはるとがぱっと目をそらせた。

「…あみちゃんその不意打ちはなしだよ…」

「えっ?」

「いや、なんでもないよ」

握られた手に力が込められ、私たちは手を繋いだままお店に入っていった。
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